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十勝ミュージアムめぐり 特集

【鹿追町】「絶筆の馬」と対峙して生きざまを想像「神田日勝記念美術館」

「画家である、農民である」ベニヤ板に描く

展示室は独特の雰囲気が漂い神田日勝の世界観にどっぷり浸ることができます

十勝・帯広市から車を走らせ約40分。十勝らしい風景の中を走ると東大雪の山並みが見えてきます。たどり着いた先、十勝平野の北西部に位置する鹿追町には「神田日勝記念美術館」があります。

 

北海道を代表する洋画家「神田日勝」の代表作などが常設展示されており、展示室へ一歩入ると中世ヨーロッパのロマネスク建築のような内観。高いアーチ形の天井や太い柱があり重厚な雰囲気が漂い、まるで教会や礼拝堂のようです。


この重厚な展示室でも圧倒的な存在感を放つのが「神田日勝」(1937-1970)の作品。彼は32歳という若さで急逝しました。

 

画家であり農民でもあった「農民画家」として知られた彼は、1937年(昭和12年)東京に生まれ、1945年に戦時疎開団に加わった家族とともに十勝・鹿追町に移住してきました。開拓営農のかたわら油彩画を制作し、新しいリアリズムの画法を独自に拓いたのです。

 

日勝の描き方は、キャンバスではなく「ベニヤ板にペインティングナイフ」を使っているのが特徴。「まるで彫刻刀で削るような感覚で描いた絵からは気迫を感じます。また『いかに描くかは、いかに生きるかにかかっている』という言葉を残した日勝。魂を燃やしながら一筆一筆描き上げている印象を感じます」と、学芸員さんは語ります。

日勝の最も有名な作品が、絶筆となった《馬(絶筆・未完)》。描いている途中で急逝したことから未完成の作品になっています。

 

この絵からは顔の部分から順番に仕上げている過程を読み取ることができます。さらに、ここからどのように描いていったのが、鑑賞した人それぞれが想像を膨らませられる貴重な作品です。

 

日勝はこの《馬(絶筆・未完)》のような「農民画家」らしいものから、ポップアートのようなカラフルなものまで実に多彩な作品を残しています。大きな作品が多く豪快さを感じる一方で、繊細な“ペインティングナイフさばき”も見どころです。美術館の収蔵品は90点以上。年3回定期的に展示を入れ替えているので、足を運ぶごとに新しい発見があるはず。

 

「彼は“大地の画家”がキャッチフレーズ。画家自身が生きて暮らしていた大地で実際の作品に触れられるのが、当館の大きな魅力です」と学芸員さん。神田日勝の作品と人生を体感できる場所で、十勝の大地も感じてみてはいかがでしょうか。

日勝の大きな作品に合った高い天井が特徴の展示室内

画風の変遷が見られます。カラフルでポップな作品は圧巻

デッサンを見ていると日勝の心の琴線に触れたような感じに

「農民画家」らしい作品群

アトリエの一部を再現。

机や蔵書、描きかけの作品は全て本物

美術館の入り口上部にあるアイコンは《馬(絶筆・未完)》

神田日勝記念美術館 基本情報

■住所:北海道河東郡鹿追町東町3-2
■TEL:0156-66-1555
■開館時間:10時~17時(展示室の入場は、16時30分まで)
■休館日:毎週月曜日(祝日が重なる場合は開館)、祝日の翌日(土・日曜が重なる場合は開館)、年末年始

■観覧料:一般530円、高校生320円、小中学生210円  ※団体割引あり
●「神田日勝記念美術館」「福原記念美術館」の二つの美術館に入場できる共通入館券
一般700円、高校生300円、小中学生200円

公式ホームページ

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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